
ソアラ、セリカ、XXの関係。
1981年2月に発売された初代ソアラ。
フラッグシップには5MGの2800ツインカムを積み、
『ドイツ車にも遜色ない高性能豪華クーペ』として
トヨタが予想していた以上の、幅広い年齢層に支持を受けます。

出力170馬力、最大トルク24.0KGというのはNAとしては
当時はなかなかのインパクトだったのではないかと。
(僕は当時クルマにまったく興味がなかったのでほとんど知らない…中学生かな?だったから。)
走行可能距離、目的地到着時刻をマイコンで自動演算するドライブコンピュー
ターなんか付いてたようです。(役に立ったのだろうか…?)

その年の『日本カー・オブ・ザ・イヤー受賞車』ですから、高評価は間違いないか
と。
ソアラに遅れること約半年、2代目セリカXXが7月に発売されます。

先代とはうって変わって直線的でスーパーカーを思わせるリトラクタブルヘッドライト、
のびやかでシャープなハッチバックのスタイリング、同世代のクルマと比べても、
(フェアレディZはまだ丸目2灯の130系、
RX−7は初代SA22のリトラでも丸目。)
ずば抜けてスマートな印象だったと思います。
内装、装備も流石のトヨタ、抜かりなくソアラについでの豪華さ。
その上、室内はちゃんと大人が5人乗れるという居住性も確保されてます。
(後席頭はやや狭いが…RX7などはとても座れたもんじゃないし。非常用シートですね。
2代目FCもそうでした。定員4人だし。)
おかげで?全長は4M66CMと、日産レパード4ドアより長い!という大きなクルマに。
まあ『アメリカ人でも4人か5人乗れるキャビン』なのかも?
パワステ・パワーウィンドウ装備、クラッチも油圧サーボ付きで軽く、
サンルーフやらクルーズコンピュータ、
トドメは視覚的に訴える『デジタルメーター』
…タコメーターの山なりがかっこいいんだな。

走行性能のアピールも抜かりなく、
CD値0.35とソアラよりも優れた空力特性・前面投影面積の小ささで日本車としては
53年規制で牙を抜かれて以来、
2800GTツインカムはノーマルで200Km/hオーバーを久々に記録、
現行車最速としてのアピール。
自動車評論家の福野礼一郎氏も著書の中で(自動車ロンだったかな?)書かれていますが、
『いきなり8頭身の帰国子女が現れ、同じチューンするならカッコいいほうがイ
イと、買ったばかりのソアラを叩き売り、
5M−G積んだ姉妹車のXXを注文した!』とか。 この話はとても面白いので是非御一読お勧
めします。
さて。
よく世間でも、『ソアラとセリカXXは兄弟・姉妹』という扱いがありますが、その辺は怪しい…。
同じエンジンを搭載してるからそう見えますが…実際、ダブルエックスはやや複雑ですよね。
福野氏もチューニングベースとして手を入れ始めてから気が付き愕然とされたそうです。
ソアラはノッチバックスタイルでトランクがある車体構造、これは後部にも隔壁があるので、強度的には
非常に有利です。 対するXXは、広大な開口部があるため、隔壁はありません。アメリカ市場で受けそうな
ハッチバックスタイル…初代XXと、構造的には同じく、さらには、セリカと同じような、いや、元々は
セリカのボディです。(バックパネルが違うなど多少の違いはありますが)
セリカA60のホイルベースは2500ミリ、ソアラZ10は2660ミリ、ダブルエックスA60は2615ミリ。
ソアラより短いけどセリカより115ミリ長い。
これは前部バルクヘッドより前の部分、フロントフェンダー部で長くされた結果です。
直列6気筒を積んだ事で伸ばされたのでしょう。セリカの回頭性よりも、ロングホイルベースでの安定性が
ダブルエックスの性格を物語っています。
(ちなみに初代XX、MA40/50は2630ミリです。同じシャーシと言えるのではないかと。)
もちろんエンジン、5M−G 2800は同じなんですから、
ミッション・駆動系、足回りのセミトレ・ストラットは共通でないといけない。
実際、ロワーアームなども同じようです。
しかし…やはりバルクヘッド以降のキャビン、後部ボディはセリカの補強版?です。
最初から2800エンジンを前提に静粛性・破綻ない強度を設計されたソアラは1305キロを超える乾車重、
それよりも約35キロ軽い、1270キロの乾重量のセリカXX。
それは、2000tエンジンのセリカのスープアップ版ですから、姉妹というよりも従兄弟かも。
後方の大きな開口部が仇となり、パワーが逃げるという宿命も併せ持ち、フルチューン仕様の泣き所ともなり、
また前後のオーバーハングが大きいので峠やジムカーナはあまり得意ではない長いクルマでもあります。
高速安定性を活かしての 高速クルージングとゆったりとしつつ間延びしない室内でくつろげるのが、
ダブルエックスの楽しみ方かも。
スポーツカーではなく、グランド・ツーリング。GTです。
まあトヨタも『スポーツカー』とは一度も言ってないですが。
スーパーカーみたいな形に期待しちゃうのですね。いろいろと。
セリカ・ダブルエックスはあくまで『セリカの血族』なのですね。
ソアラと完全に兄弟になるのは、次期A70スープラからなのです。
A70スープラ…これも、いろいろ税制枠に振り回されたクルマですが。…それはまた。

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